私が幼稚園から保育園に転職してすぐに悩んだことが、『子どもたちが自分の言うことを聞いてくれない』でした。
幼稚園に勤めていたころは「今から説明するから座ってちゃんとお話を聞こうね」と言えば、ちゃんと座って話を聞いてくれる子どもがほとんどでした。しかし、保育園に転職した一年目の頃は『じっと座ることが出来ない』『すぐに注意が他にそれてしまう』子どもが半分ほどいて、補助の先生がもう一人付かないと保育の導入ですらままならない状態。
参考記事:『幼稚園と保育園の子どもの違い』と『子ども理解』について
どうしたらいいだろうと悩んでいたところ、隣のクラスの先生がとても上手に話をしているのを見て、参考にさせてもらいました。
その先生はとにかく子どもの年齢に応じて話し方を変えていました。当時、幼児クラスの担任だったその先生は、3歳の子どもに伝わりやすい最適な話し方をしていたのです。
例えば、年長の子どもに「これからおしっこに行って、その後で粘土で動物さん作ろうね」と言っても子どもたちには響きずらいですよね。そんな時は「トイレに行ってみんなで動物園を作ろう!」と誘った方がわかり易いし、やろうという意欲がわいてきます。
子どもの年齢に応じて、話すスピードや選ぶ言葉を変えなければ、子どもたちは振り向かないし心にも響かないのです。
子どもたちに『注意して聞いて欲しいこと』を伝えるには、ダラダラと長く話すよりも的確な『間』が必要です。一瞬でも子どもたちに想像させる、考えさせるような場面でもその間は必要になります。
私自身まだまだ使いこなせていないような気がしますが、ベテラン先生のやり方を見ていると「あ、なんかこの間が子どもたちを引きつけているな」って感じることがよくあります。独特なので言葉で表現するのが難しいのですが、ベテラン先生の間の取り方をじっくり観察してみると、色々な気づきがあるので、ぜひ意識してみましょう。
私が3歳児クラスを持っていた時に、なかなか子どもたちが話を聞いてくれないことがありました。そんな時、主任の先生にお手本を見せてもらったことがあります。
主任の先生は、子どもたちの状況を見ながら場面場面でわざと小さな声で話したり、手を振ったりしてジェスチャーなどで伝えていました。3歳の子どもだと、言葉で理解できなくてもジェスチャーなどでわかることもあるんだ!と私は感心しました。
また、低い声だと子どもたちに届きにくいことがあるので、地声が低い人は『特に伝えたい』ことがある場合、意識して声を高くしてみるといいでしょう。
子どもを惹きつけたい時に私がよくやるのが、一方的にこちらから話すよりも、なるべく子どもたちから声を引き出すようにすることです。
例えば、普段の話し方を「これは何だ?」とクイズ形式にして、子どもたちから声が出るように仕向けることで、自然とこちらを向く子どもが増えてきます。
この技は、一般的に言われる『落ち着きのない子』にも使えるので、ぜひ試してみてください。
保育をしていると「先生って、テレビで見るような芸人さんみたい。エンターティナーなんだな〜」って感じることがよくあります。テレビで見る芸人さんたちも、きっと自分たちが楽しいと思ってネタを披露されていると思います。
保育も同じで、先生も自分が楽しむというような気持ちで『これ、やってみたら楽しそうだよ!やってみようよ!』と子どもたちに接してみてください。自分が楽しめる保育を設定しているときは、不思議と子どもたちも話をよく聞いてくれるはずです。
私の場合は『楽しませてやろう!この遊び、めっちゃ楽しいんだよ!』っていう気持ちが強く出て、話し方が明るく自然と表情も笑顔になっているのかもしれません。こうなってくると、保育の導入の準備も苦ではないし『こうしたら面白い、ああしたら面白い』と自然とアイデアも湧いてきます。
反対に若干テンションの下がる保育の場合は、気分が落ちてしまっているからか、自然と話し方が暗くなっているのか、子どもたちは話を聞いてくれなくなることが多いです。
実際の子どもの状況にもよりますし、惹きつけるための環境も整えておくのはもちろんのことなのですが、『こう話すと正解!子どもが惹きつけられる』っていう明確な正解はないように思いますが、先生が楽しい気持ちで保育をすることが出来れば、それが子どもたちにも伝わるんだと思います。