保育園の生活で『遊び』というのは、子どもの人間性を養う上でとても重要になってきます。その中でも、自由保育で行う遊びと設定保育で行う遊びとでは大きな違いがあります。
自由保育で行う遊びとは、例えばクラス全員が揃うまでのちょっとした時間や、ご飯を食べ終わるペースが違うなどで空いた時間を、子どもたち自身が見つけて自由に遊ぶ保育です。
一方、設定保育で行う遊びとは、あらかじめ保育士が今日のテーマを見つけて、それを決まった時間の中でみんなで一緒に遊ぶ、いわば『集団遊び』のことをいいます。
設定保育で大切なのは、普段子どもたちがどういった物に興味を示しているのか、またはこの遊びを通してこんな力をつけて欲しいという思いを込めて、設定する必要があります。
私が担任をしていたクラスでも、子どもたちそれぞれ熱中する遊びが違いました。例えば『リズム遊びは大好きだけど、製作が苦手な子』『指先遊びは得意だけど、ごっこ遊びが苦手な子』といった感じです。もちろん大人にも得意分野があるように、子どもにも得意・不得意、好き・嫌いがあります。
そして、幼少期に『自分の好きな遊びに集中して取り組む』というのは、実はとても重要なことなんです。なぜかというと幼少期に集中力を高めることで、大人になってからの精神面の安定を図ることができ、思いを強く持つことが出来ると言われているからです。
フィギュアスケートの『羽生結弦選手』を例にだすと、彼のご両親も、羽生選手が子どものころから好きなフィギュアスケートを全力で応援したり、しっかりと見守ることで、集中してスケートに取り組めるような環境作りを重要視しました。その結果、羽生選手は現在のような自主性や、精神的にも安定した演技のできる一流のアスリートに育ったと言われています。
ただ、好きな遊びを自由にさせてばかりいては、集団生活におけるルールを理解することが出来なかったり、『我慢する心=忍耐力』がつきにくい、という一面もあります。
保育士としてできることは、『子ども達の好きな遊びを見つけてあげながら、それにともなった他の遊びを覚えさせる』などの働きかけが必要となってきます。
例えば、製作が好きな子どもの場合、製作したものがある程度出来上がってきたのを確認して、今度はそれを友達とお店屋さんを開いて販売する『ごっこ遊び』に繋げていくなど。こうすることで、1人で集中して行う『製作』という遊びが、友達との関わりを広げていく『人間関係』につながっていきます。
このように、子どもたちの好きな遊びを見守り尊重しながらも、さらに次の展開へと広げていくことが、保育士が子どもの成長を見守るうえで大切な働きかけとなります。