今でも忘れられない子ども、Kくんには発達障がいがありました。そんな想い出のお話です。

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7年間の保育生活で一番思い入れのある、発達障がいのKくん

今まで7年間保育をしてきて過去を振り返ってみると、どの子も同じようにとても愛おしく思います。ただ私には、その中でも『あの子はどうしているかな?』と、どうしても気になる子どもがいます。今回は、そんな子どものことを紹介したいと思います。

何から何まで、とにかく手のかかったKくん

幼稚園から保育園に転職した1年目で担当した3歳児クラスで、Kくんという子がいました。Kくんには少し障がいがあり、

  • 保育士の話をじっと聞いていられない
  • お昼寝をすることが出来ない(横にはなっても常に手足が動き、何か言葉を発している)
  • 言われていることが理解できない
  • 食事に配慮が必要だった(手づかみで食べてしまうので)

などなど、集団行動をしていくうえで難しい場面がよくありました。

当時2人体制でクラスを持っていましたが、まだまだ保育年数が浅い私たちだったので、よく主任先生や園長先生にクラスに入ってもらい助けてもらっていました。

保育のやり方もままならない状態だったので、主任先生にアドバイスをもらうことがほとんど。怒られることもよくあり、自分たちの情けなさから2人で泣いていたことを覚えています。

Kくんに八つ当たりして自己嫌悪に

Kくんは私が3歳児クラスで初めてみた発達障がいの子どもだったので、研修等で一から発達障がいの勉強をしたり、先輩の先生方から関わり方を教えてもらったりして、文字通りがむしゃらにKくんのことについて考えていました。

でも、保育が円滑に進まなかったり、Kくんが悪いわけじゃなく私の言葉かけや配慮の工夫が必要なだけだと分かっていても、ついイライラして「どうして〇〇しないの!?」「どうして〇〇できないの?」と叱って泣かせてしまうこともありました。(その後は決まって自己嫌悪に陥ってしまうのですが…)

ただ、Kくんはそんなことがあっても、私の名前を呼んでニコニコ笑顔で話しかけてくれました。Kくんには思いやりや愛嬌があり、泣いている友達の頭を撫でたり、朝一番に会うと名前を呼んで挨拶をしてくれるんです。そんなKくんの姿に私は何度癒されたかわかりません。

辛く苦しい経験だったけど、今でも愛おしく想うKくん

3歳児クラスでもうすぐ1年を終えようとしたある日の休憩時間に、園長先生から「クラスを持ち上がってみる?」と冗談で言われたことがありました。

私の頭の中では『発達障がいを持っているのはKくんだけじゃないし、明らかに大変なクラス...自分の能力も全然足りない』という思いから、その時は遠慮したのですが、頭の片隅には『もう一年一緒に過ごして子どもの成長を見てみたいな』と思う自分もいました。

結局4歳児クラスからは、私は別のクラスの担任になりましたが、『辛い苦しい経験もKくんを愛おしく思えていたから乗り越えられたんだ』と今でも時々思い返すことがあります。

Kくんと保育園で一緒に過ごすことは、正直どの先生からみても大変だったと思いますが、『Kくんだけが持っている良さを知ることが出来たのも、長い時間一緒にいて担任だった私たちだけだ』と、自分に言い聞かせ誇らしく思っています。


今、クラス運営をするにあたって『大変だな』『もう嫌だな』と思われている先生方もいるかもしれませんが、一年で起こったいろんな事件も後から考えればいい思い出に変わっていることがほとんど。そして、その子と関わっていく中で辛い苦しい思いをしたことが後の自分の経験になり、成長に繋がっていくのだと実感することができます。Kくんと接することで、私自身がとてもそう感じ感謝の気持ちでいっぱいです。


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