一時保育を行う上での内容やカリキュラム、子どもの特徴や保護者への確認事項などについて、私の体験をふまえてお話しします。

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一時保育の子どもの特徴や保護者への確認事項

一時保育のイラスト

私の勤めていた園では、進級の前に「次はどこのクラスを持ちたいか」という希望を聞かれます。それまで乳児のクラスを持ったことがなかった私は、ゆったりとした環境と、少人数で乳児の保育ができる『一時保育』を希望しました。園長先生も私に『乳児の保育を経験してほしい』との考えだったようで、保育士3年目にして初めて、一時保育の担当をすることになりました。今回はその時の経験をお話させて頂きます。(一時保育は、地域や園によって内容が異なります)

一時保育とは

一時保育とは、保護者の病気や出産などで家庭での保育が困難な子ども、または『集団生活に少しずつ慣れさせていきたい』という、保護者の意向がある子どもを、在園児とは別枠で一定期間預けることが出来る、『一時預かり保育』のことをいいます。

あらかじめ園や役所などに登録をする必要があり、利用するには事前の予約が必要です。

一時保育の内容

私の園では、担当の保育士が1人という場合が多かったので、一日に預かる子どもの数に限りがあり、その人数を越すような状態であればお断りすることもありました。

子どもの人数でいうと、4月や5月などの年度始めは2人くらい、夏から秋にかけては4人くらいに増え、最後の2月〜3月は1人の保育士がみれる最大数の6人くらいが来ていました。

年齢も幅広く、1歳~5歳児までを預かっていました。(場所によっては0歳児から預かる園もあるようです)私のクラスでも、その日により子どもの『人数が違う』『年齢が違う』ということがよくありました。いわば、小さな縦割り保育(年少、年中、年長さんと年齢で分けるのではなく、それぞれの年齢から同じくらいの割合で園児を配分してクラスを決め、そのクラスで生活をすること)のような感じです。

また、一週間のうちに何度も一時保育に通う子どもの場合は、だんだんと園にも慣れてくるので、在園児のクラスと交流を持たせることもあります。例えば一時保育に通っていた2歳児が、環境に慣れてきなと思ったところで、在園クラスに入れてもらい一緒に保育をうけるという感じです。

一時保育のカリキュラム(保育目標)

常に保育園にいる在園児の場合は『衣服の着脱が自分で出来るようになる』といった年齢の発達に応じた通年目標を立てることができますが、一時保育の場合は日によって子どもの年齢や人数も変わってくるので在園児と同じカリキュラムは組めません。

私の園では『どんな子どもが来るのか』を、一週間前に把握することができたので(家族の誰かが急に入院する、今日の保育をする人がいない、などの緊急は除く)『園の雰囲気に慣れる』『園の行事に参加する』といった、一時保育の子どもに合わせた週案(一週間の保育目標)を作り、保育活動にあたっていました。

一時保育の活動(遊び)

年齢別になっている通常のクラスであれば、『子どもの年齢に合わせた遊び』ができますが、一時保育の場合はそう簡単にいきません。

例えば一時保育の現場で、『1歳児が2人・3歳児が1人』という状況があったとします。3歳児といえば、体を動かして思いっきり遊びたい年齢なので、走り回ったり、飛び跳ねたりして、『やっと歩き出した1歳児にぶつかって怪我をする』危険などがあります。

一時保育では、そういったことを考慮し『年齢が低い子どもに合わせた遊び』を考える必要があります。また、年齢が違う子どもでも、楽しく保育に参加できるような気配りや配慮、環境づくりも忘れてはいけません。

保護者への確認事項

緊急対応の場合は難しいですが、通常の一時保育では登録の際に一度、保護者と担当保育士でお話をします。

内容としては、『昼寝の際に、お気に入りの毛布がないと眠れない』『野菜が苦手で吐き出してしまう』などといった対象児の特徴、その他にもアレルギーの有無を保護者に確認します。

お弁当を持ってくる園では基本的に心配ないと思いますが、私の園は給食対応だったので、保護者から聞いたアレルギーの詳細を調理の先生に伝える必要がありました。1歳児の場合は『青魚、卵、エビカニなどの甲殻類を、今までに食べたことがあるか』ということも同時に聞き出します。

また、既往症(キオウショウ)なども確認します。例えば『熱性けいれん』があるといった場合は、『熱がでた時の連絡先』と『熱がどれくらいまで上がった場合に連絡をするか』など、細かなところまで確認していきます。

一時保育では『初めてやってくる保育園で、パニックになっている子ども』が多いので、保育士もその対応に追われて事故につながりやすくなります。そうしたことからも、保護者から事前に確認事項を聞き取り、子どもの特徴をしっかりと頭の中に入れておく必要があります。

一時保育の子どもの特徴

一時保育では、泣きながら登園してくる子どもがとても多いです。

子どもの立場からすると『訳のわからない場所に突然1人で来る』のですから、不安になって泣いてしまうのは当然です。大人でも、そんな環境であれば落ち着かないし、泣きたくなることもありますよね。

園に慣れない子どもの場合は、登園してからも一日中泣いていることだって珍しくありません。そんな時は、楽しい音楽をかけてみたり、保護者から聞いていた好きなオモチャを持たせたり、年齢が小さい子の場合は『抱っこ』や『おんぶ』をして落ち着かせます。天気が良ければ園内を散歩するといった方法もありますが、私の場合は同じ一時保育の子どもたちが助けてくれることもよくありました。

定期的に一時保育にくる子で年齢が少し大きくなると、環境にも慣れているので初めてやってきた子に興味津々です。そんな子が『手をつないであげよう』としたり『だいじょうぶ?』『もうなかないよ〜』など、初めてきた子に必死に話しかけていることもありました。自分が初めて園に来た時の不安な気持ちを憶えているせいか、泣いている子どもの気持がわかるのかもしれませんね。そんな姿を見ていると、なんとも可愛らしくて癒されました。


一時保育の特徴は、とにかく子どもが泣きます!一日中、大泣き(ギャン泣き)ということが当たり前です!それが苦痛になることもありますが、そんな子どもを楽しく過ごせるように工夫して、泣いている子どもが笑顔になれた時には、努力が報われてとても幸せな気持ちになります。


一時保育のクラスを担当して、私が感じたことは『一時保育の子どもたちも、いずれは集団生活の中に入っていく』ということを、意識しながら保育を行うことの大切さです。

一時保育の子どもは環境に慣れてくると『他のクラスに入れてもらう』ということがよくありますが、私の場合はどうしても『自分のクラスの子ども』といった意識が強く、誰かに頼らず、どこかの部屋を借りて1人で見ていることがほとんどでした。ただ、それが子どもにとって本当に良かったのだろうかと、今でも時々考えます。

一時保育を預かる保育士は、『子どもたち一人一人をしっかりと見ることが出来る』という良い面もありますが、子どもたちを『園の雰囲気に慣れさせる』『少しずつでも集団生活に溶け込めるようにしていく』のも担当保育士の大切な役目だと思います。


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