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乳児の噛み付きと、その対処法について

乳児が噛み付くイラスト

保育をするうえで避けられないのが、子ども同士のトラブル。高年齢の幼児に比べて、自分の気持ちを言葉で伝えるのが難しい乳児の場合、どうしても『叩いたり』『噛んだり』することが多くなります。

噛み付くのには理由がある

乳児が噛み付くのには理由があり、それは『嫌だ!という意思表示』だったり、『ケンカの際の攻撃方法』だったり色々。ケンカになると自分なりに言葉で気持ちを伝える、泣いたりして感情表現をする3〜5歳児に比べて、0歳・1歳・2歳の乳児は、噛むことによって相手に気持ちを伝えることがあるので、直前の行動を注意深く観察しながら、どういう理由で噛み付いているのかを推測しましょう。また、ごくまれに保護者や保育士などの大人に対して『愛情表現』『甘えたい気持ち』を、噛み付きで表す場合もあるので注意が必要です。

言葉で自分の気持ちを伝えるのが難しい乳児の場合は、注意深く見守っていないと子どもの気持がわかりにくいことがあります。私が受け持っていた1歳児にも、やたら噛み付きの多い子がいました。その子の場合は、以前自分が友達から噛まれて嫌だったことを根にもっていて、仕返しで噛んでいたのではないか?と推測するような印象でした。こういったことも、子ども本人が自分の口から言うわけではないので、基本的には保育士間の話し合いや保護者との話の中で推測していくしかありません。

噛み付きを減らすには?
友達同士で遊んでいる時も目を離さない

噛み付きは、子どもの気持がヒートアップした時に起こりがちです。いくら友達同士で楽しく遊んでいても、おもちゃの取り合いになり『突然噛み付いたりする』こともよくあります。常に子どもから目を離さず、噛み付きが起こりそうになったら仲立ちをして「〇〇くん、これが嫌だったんだよね〜」などと、子どもの気持ちを代弁しながら、子ども達が落ち着いて遊べるように上手くコントロールしていきましょう。

環境を変えてみる(広い空間へ移動する)

人数が多い乳児クラスで、保育室のスペースに余裕がない状態だと、子ども同士のトラブルが起こりがちです。大人でもそうですが、人間は狭い環境の中にずっと閉じこもっているとストレスが溜まっていきます。子どもというのは『常に動き回りたい年齢』なので、動くことを静止されてしまうような環境にいると、大人以上にイライラしてしまいます。それが原因で噛み付いたりする事もよくあります。

可能であれば、子どもたちのテンションや機嫌を察知しながら、保育室ではない別の部屋に遊びに行ったり、散歩に行ってみるなど『広い空間へ移動する』という方法を試してみてください。

噛まれてしまった場合の対処法

子どもたちが噛まないようにする工夫も大切ですが、実際に噛まれてしまった場合の対処も大切です。傷の具合や状況を確認して、必要であればすぐに保護者に連絡をしましょう。緊急性がない場合は、送迎時などに詳しく保護者に説明をします。

また、噛まれてしまった子どもの保護者に説明するのはもちろんですが、噛んでしまった子どもの保護者にも、噛み付きがあったことをきちんと説明しましょう。その場合は、噛んでしまった時の子どもの気持ちや、その時の状況を詳しく伝えていきます。噛まれてしまった子どもに非がある場合でも、噛んでしまった子が一方的だった場合でも、状況などを詳しく説明したうえで『本人の気持ち』も代弁しながら、できるだけ正直に保護者に伝えていくことが大切です。

噛み付き問題で1番悩むのは、噛んだ子どもの親へ対応するときに『噛まれた子どもの名前を伝えるかどうか』だと思います。園によって違いますが「どうしても一言謝りたいから」という保護者の方には、しっかりと伝えてもいいのではないかと思います。

大切なのは『噛んではいけない』ということを伝える

乳児の噛み付きはよくあることです。『発達の上では重要(乳児の自己表現の一つ)なこと』とも言えるでしょう。ただ、噛まれた子どもは痛いし、嫌な思いをします。もちろん、それは保護者の方も。

大切なのは『噛んではいけない』こと、『噛まれた相手は痛い』ということを、分かりやすく何度も子どもに伝えていくということです。そうすることで、子どもの発達にも良い影響を与えていきます。

クラスだよりを配布するような施設では、クラスの状況や『噛み付きをする子どもの気持ちの代弁や発達』などについても、詳しく説明をしていくといいでしょう。


【私の園で実際にやっていた事】

私も乳児のクラスを持っている時は、とにかく噛み付きがよく起こりました。保育士の目を盗み(子どもはそんなこと勿論思っていないのですが)いつの間にか、子ども同士のトラブルが起きていて、気がついたら噛んでしまっていることがよくありました。

トラブルが起こるたびによく噛んでいる常習犯の子がいて、噛まれた子どもの腕にはくっきりと歯型が残ってしまい、後で内出血をしていることもしばしばありました。「年齢の小さい子どものやることだから」と最初は許してくれていた保護者の方も、そんなことが頻繁に起こっていたので、さすがに苦情を言われました。

そんなこともあり、保育士同士で連携を取り、どんな時でも保育士一人は必ず子どもの様子を見ていること(特に噛み付き常習犯の彼のことは)、イライラしている子どもがいたら気分転換に他クラスに遊びに行ってみたりするなどの話を何度もすることで、ちょっとずつ噛み付きは減っていきました。

この事からも、『噛んでしまった』で終わらせずに『噛まないようする』工夫を色々としていくことも必要なんだと、改めて感じました。


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