幼児の場合は「ここが痛い」「気持ちが悪い」などと言葉で伝えることができますが、乳児の場合は自分の気持ちを言葉で表現できません。保育士は、そんな乳児の様子をいち早く察知して対処する必要があります。ここでは乳児が起こしやすい事故や怪我をいくつかあげてみます。
冬期にストーブなどを出していると、注意していても子どもが手を出してしまい、やけどをしてしまうことがあります。
狭い範囲(10円玉くらい)のやけどで、患部が赤くなっているときは、水などで十分に冷やして様子を見ます。水膨れが出来たときは、ばい菌が入らないようガーゼでしっかりと保護しましょう。
赤ちゃんの手のひらサイズくらいのやけどや、皮膚が濃く変色してきた場合は、すぐに病院に連れて行く必要があります。
乳児は、口の中に入れやすそうなもの(ペットボトルの蓋など)を、飲み込んでしまうことがよくあります。最悪の場合、喉に引っかかり窒息することもあるので大変危険です。誤飲した物が口の奥底まで入っていなければ、乳児の体を横にして指を入れてかきだします。1歳くらいの子どもの場合は、片腕に子どもをうつ伏せに乗せて、指で顎を支え反対の手で背中を数回たたきます。2歳くらいの子どもの場合は、座った膝で子どもをうつ伏せに寝かせ、頭を低くした状態で背中を叩きます。
それでも異物が出てこなかったり、呼吸が弱まり意識が朦朧としているようなら、すぐに病院へ連れて行きましょう。
低年齢児は食べきれないほどの食べ物を頬張ったときに、嘔吐をしやすいです。そうならないように、ゆっくり食べられるような声かけも必要になってきます。それでも嘔吐をしてしまった場合は、嘔吐用のビニール袋の中に、紙袋などを入れたものを使います。手の空いている他の保育士がいる場合は、嘔吐している対象児から他の子どもたちを離したり、換気をしてもらいましょう。
嘔吐した子どもが流行性の病気の可能性がある場合は、他の子どもたちがいる保育室とは別の、他の部屋に寝かせるのがベストです。食器や床が汚れた場合は、しっかり消毒してください。下痢の時も同様に消毒をしっかりする事と、他の子どもたちとの接触をなるべく控えるようにします。その後、様子をみて変わった様子がなければいいのですが、『熱が急に上がる』など様子がおかしいと感じた場合は、すぐに病院へ連れていきましょう。下痢が出たオムツなどがあれば、それを捨てずに病院へ持っていき担当医へ見せるようにしましょう。
免疫がつき、身体が強くなる高年齢児に比べ、免疫力が低く、物の分別がつきにくい低年齢児は、事故や体調を崩してしまうことが多いです。最悪のケースにいたっては、少しの油断が乳児の命を落としてしまうことにもなりかねないので、しっかりと自覚を持ち慎重に対処するようにしていきましょう。